日本人とメンズエステ

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近年、美を意識する男性が増加しており、メンズエステという文字を目にすることも多くなりました。しかし、女性が行くエステサロンとは異なり、メンズエステには「怪しい」「風俗」などのイメージを持っている方も少なくありません。

ではメンズエステとは一体何をするところなのでしょうか。ここではメンズエステの起源と種類、日本人の考えるメンズエステとその将来の姿などについて掘り下げてみました。

そもそもメンズエステとは

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メンズエステとは、文字通り「男性向けのエステティックサロン」です。マッサージによるリラクゼーションや脱毛、痩身などのサービスがあります。マッサージはアロマオイルなどを使用することが多く、首・肩・背中などを中心に全身をもみほぐす施術を受けることができます。

ほかにも脱毛や育毛などの毛髪に関するケアや肌ケアなど、メンズエステも女性のエステサロンと同様に美容に関するサービスを提供しています。

メンズエステの起源と種類

比較的最近できたと思われがちなメンズエステですが、その起源は1990年ころに流行した「アジアンエステ」と言われています。アジアンエステとは日本以外のアジア諸国に伝わる伝統的なマッサージのことで、大きく分けると台湾式・中国式・韓国式の3つが主流です。

温熱やアカスリを取り入れた、その国ならではの手法によるマッサージは当時大ブームとなりました。しかし、エステ店としての店舗を構えているケースは少なく、その多くはマンションなどの個室で女性が施術するスタイルとなっています。

いずれのマッサージもツボを刺激して体から老廃物を除去することを目的としていますが、共通する特徴は「痛い」ことです。リンパを刺激して老廃物を流すというよりも、老廃物を直接押しつぶして取り去るというタイプのマッサージなので、一般的な「気持ちの良い」マッサージとは異なります。

体に不調がある部位ほど痛みを感じますが、痛みが強いほど効果があると言われています。このように流行したアジアンエステですが、中にはマッサージの枠を超えていかがわしいことをするお店もあったことから、2000年代初期に警察による摘発が続きブームは自然と消滅していきました。

このアジアンエステブーム終了後の2000年代中ごろに登場したのがメンズエステです。しかし、現在のメンズエステ店には大きく分けて2種類がある、と考えることができます。

ひとつは「正統派」のエステを提供するお店で、女性セラピストによる一般的なエステサロンと同様のマッサージでリラックス効果を得ることを目的としています。大手美容エステサロンが、男性向けのサービスを提供するために立ち上げたことが始まりと言われており、一般的なエステサロンと同様に店舗を構えていることが特徴です。

もうひとつは、マンションなどの個室で女性セラピストによる施術を受けるアジアンエステの流れを継承したスタイルのお店です。沖縄が発祥と言われる「洗体エステ」によって、女性セラピストの「かわいらしさ」と「セクシーさ」をアピールしていることが特徴です。

洗体エステとは、手を使ったマッサージとは異なりセラピストの体を使って行うマッサージで、密着度が高く正統派メンズエステよりもきわどいサービスで楽しませてくれるお店となっています。

メンズエステは風俗なのか

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結論を先に言ってしまうと、メンズエステは風俗ではありません。メンズエステ登場直後は、一部のアジアンエステのように枠を超えたサービスを提供するお店もありましたが、現在ではそのようなお店はほとんど摘発され消滅しています。

メンズエステは風営法の認可を受けていないお店であるため、性的サービスの提供や強要、セラピストの体を触る行為などは禁止されています。メンズエステで男性利用客がこのような行為をした場合、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。

このように風俗ではないメンズエステですが、なぜ風俗と誤解されるのでしょうか。それは、メンズエステ登場後に摘発された店が報道される際、多くのメディアの呼称が「メンズエステ店」だったため、人々に「メンズエステは風俗店」と印象付けられてしまったことが大きいと考えられています。

また、正統派メンズエステ店ではない一部のお店では、セクシーな衣装を着たセラピストの顔にモザイクをかけたり、黒い目隠し線を入れた写真を掲載していることが多いので、風俗店と勘違いしやすいことが理由と思われます。

しかし最近では、男性芸能人や著名人がメンズエステの気持ちよさやリラックス効果をSNSに投稿したり、トーク番組などでオープンにしていることから、風俗と誤解している方も少なくなっているようです。

女性のエステサロンにも男性セラピストがいるのですから、メンズエステで女性セラピストに施術してもらってもやましいことはないはずです。メンズエステに行くことが変な目で見られないようになることも、遠い未来のことではないかもしれません。

メンズエステと日本人男性

日本人の考え方として、未だに男性がエステに行くことに対して良いイメージを持っていない人が多いのは事実です。しかし最近では、男性化粧品で肌の手入れやメイクする男性が増えていることも事実で、仕事上でも見た目をきれいにすることで相手に良い印象を与えることが広く知られるようになりました。

実際に大手男性美容クリニックのアンケートによると、美容に興味を持つ男性は全体の60%にも達しており、エステ経験者も2016年の4.8%から2020年には6.7%まで増えています。

利用した目的も「癒されたい」「きれいになりたい」だけで全体の過半数にも達しています。このように美容に関する考え方も大きく変わっていることから、今後はメンズエステを抵抗なく利用する人が増えてくるのではないでしょうか。

これからのメンズエステ

メンズエステ市場は僅かながら年々増加傾向にありますが、エステ市場全体から見るとわずか10%程度となっています。「男に美容は必要ない」「男のエステ通いは恥ずかしい」という風潮がまだ残っていることから、今後も大きな変化は見込まれていません。

しかし、男性化粧品や男性用美容家電などの需要はここ10年で2倍近くも増加しているため、メンズエステにも大きな期待が寄せられています。現代社会はストレス社会とも呼ばれ、男性女性に関わらず多くの人々が何らかのストレスを抱えながら生活しています。

「癒し」ブームも続いているため、メンズエステが改めて注目される日も近いかもしれません。

「正統派」「きわどい派」のどちらを利用するかを決めるのは自分自身

今後もメンズエステは、正統派のお店と、きわどいサービスを提供するお店の二極化が進むと考えられています。正統派はセラピストの質の向上や新たなサービスをアピールすることで店舗数を増やし、きわどいお店はより風俗方面にシフトしていくことでしょう。

どちらが良い・悪いはありませんが、最終的に選ぶのは自分自身です。自分が希望する癒しを求めて、メンズエステデビューしてみてはいかがでしょうか。

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